『マインドフルネス認知療法 うつを予防する新しいアプローチ』の感想
私が本書を手に取った動機
エンジニアとして仕事をしていると、自分と他の人(や自分の理想)とを比べてしまって、「他の人よりも私はなんでこんなにできないんだ」と落ち込むことが私には多々あります。 少し前に、そういう思考は克服したと思ったのですが、最近になって、またその思考が復活して落ち込むことが多くなったので、なんとかしてこの思考を克服したいと考えました。
そうしたところ『マインドフルネス認知療法 うつを予防する新しいアプローチ』の本を知ったので、手に取ってみました。
本書の概要
本書は、マインドフルネスと認知療法を融合させた、マインドフルネス認知療法の手法を紹介するものです。マインドフルネス認知療法は、特にうつ病再発防止のために作成されたという経緯があります。 そのため、本書でもうつ病の再発防止に焦点を当てて、理論や実践例が述べられています。
うつ病の再発予防の心理療法として紹介されていますが、考え方やエクササイズは日頃の生活に取り入れられそうだと思ったので、そのことについて以下に書きます。
取り入れたい考え方
本書を読んで、まず、「自分と他の人とを比べてしまう」という思考パターンを無理に修正しようと思わなくて良いんだということを学びました。
「この思考を修正しよう」という心構えでいると、その思考が修正できなかった場合に「このように考えてしまう、自分はだめだ」と感じ、返って自分を苦しめることに繋がります。その結果、直そうと思った思考から抜け出せなくなります。 そこで、思考を無理に修正するのではなく、「その思考に陥りやすい自分を受け入れる」という心構えでいることで、その思考に振り回されづらくなるということが本書に書かれていました。
この考え方には、とても納得したので「自分と他の人とを比べてしまう、自分を受け入れる」という考え方を取り入れたいと思いました。
取り入れたいエクササイズ
本書では、思考パターンに振り回されづらくするスキルを身につけるために、8つのセッションが紹介されていました。ただし、8つのセッションを自分でやろうとすると色々大変なので、その中の「3分間呼吸空間法」と「思考に対して違う見方をするエクササイズ」をピックアップして日頃の生活に取り入れたいと思いました。
3分間呼吸空間法というのは以下のような手順を3分間行う瞑想です。
- 呼吸に意識を向ける
- もし、意識が呼吸から離れても、それを悪いことと捉えるのではなく、そのまま受け入れて、呼吸に意識を向け直す
- 身体全体、感情、出来事に意識を広げる
- 一番強い身体感覚から意識を向けていく
- 嫌悪感などがあっても「何が合っても大丈夫だ」と、あるがままを受け入れる
そして、「思考に対して違う見方をするエクササイズ」は以下の手順で行うものです。もし、特に困難な思考の場合は座瞑想の一部に組み込むことが推奨されていました。
- 思考を追うのではなく、行ったり来たりをただ眺める
- 思考と事実は違うと考えて、感情は心の中の出来事と考える
- 思考を紙に書く
- その思考に対して以下の質問をする
- 自動的に浮かんだ思考か?
- 事実に合っているのか?
- 疑問はあるか
- 別の気持ちの時はどう考えるか
この2つのエクササイズを日常生活に取り入れたいと思いました。具体的には、自分と他の人を比べて自分を追い詰めていると感じたときに、3分間呼吸空間法を実施して、今に意識を向け直し、その後で「思考に対して違う見方をするエクササイズ」をするという流れが良さそうに思いました。
最後に
本書を読む前は「この思考パターンは変えなきゃいけない」と思っていたのですが、自分がその思考パターンに陥りやすいのを認めて、その思考パターンに陥っても自分を追い詰めないようにするという戦略に方針転換できました。今後も、この思考パターンと上手く付き合っていく方法を模索していきたいと思っています。